「月刊社会保険労務士」平成7年4月号より
労働基準法第89条第1項の規定による就業規則の作成の業務については、社会保険労務士法(以下「法」という。)第27条の業務制限に該当するか否か、また、法第二条第一項のいずれの号に該当するかということについての明確な解釈が今日までなされていませんでしたが、中西貴連合会会長より、労働省に対してその解釈について下記のとおりの照会を行った結果、本会の見解のとおりである旨の回答を得ました。
社労連第30号
平成7年3月28日
労働大臣官房労働保険徴収課
課長 若木 文男 殿
全国社会保険労務士会連合会
会 長 中 西 實
労働基準法第89条第1項の規定により義務づけられている就業規則の作成が社会保険労務士法第2条第1項中いずれの号に掲げる事務に該当するかについて(照会)
謹啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。
平素は、当連合会の業務運営につきまして格別なるご指導ご協力を賜り厚くお礼申しあげます。
さて、標記の件につきまして当連合会は、別添のとおりであると思料いたしているところですが、この見解につきましての貴省のご意見をご教示くださいますようお願い申し上げます。
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労働基準法第89条第1項の規定により義務づけられている就業規則の作成が社会保険労務士法第2条第1項中いずれの号に掲げる事務に該当するかについて
社会保険労務士は、社会保険労務士法(以下「法」という。)第2条第1項の規定により、同項各号に掲げる事務を行うことを業とすることとされ、この事務として、同項第1号に「労働社会保険諸法令に基づいて行政機関に提出する申請書、届出書、報告書その他の書類を作成すること」、同項第2号に「労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(第1号に掲げる書類を除く。)を作成すること」、同項第3号に「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」と規定されている。
また、社会保険労務士でない者には、法第27条の規定により、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならないとの業務制限が課されている。
労働基準法第89条第1項の規定により義務づけられている就業規則の作成については、この業務制限との関連で、法第2条第1項中いずれの号に掲げる事務に該当するかとの議論があるところであるが、下記のとおり同項第1号の事務に該当するものと解される。
記
昭和43年12月9日付け社会保険庁保発第23号及び昭和43三年12月11日付け労働省発総第43号「社会保険労務士法の施行について」記第2、3においては、「第1項第1号の事務は、行政機関に提出する書類の作成事務をいい」とされている。
就業規則は、労働基準法第89条第1項の規定により常時10人以上の労働者を使用する使用者については、行政官庁への届出が義務づけられている。
労働基準法は、法別表第1第1号に掲げる法令であって、法第2条に規定される労働社会保険諸法令であり、さらに、労働基準法第89条第1項の規定により義務づけられている就業規則の届出行為は、いわゆる事務代理を定めた法第2条第1項第1号の3の規定中「労働社会保険諸法令に基づく届出」と位置づけられている(社会保険労務士法施行規則第1条、別表第1号)。
このことから、労働基準法第89条第1項の規定により、常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務づけられる就業規則の作成は、法第2条第1項第1号に掲げる事務に該当するものと思料される。
労徴収第12号
平成7年3月30日
全国社会保険労務士会連合会
会 長 中 西 實 殿
労働大臣官房労働保険徴収課長
労働基準法第89条第1項の規定により義務づけられている就業規則の作成が社会保険労務士法第2条第1項中いずれの号に掲げる事務に該当するかについて
平成7年3月28日付け社労連第30号をもって照会のあった標記のことについて、下記のとおり回答する。
記
貴 見 の と お り
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